不動産鑑定士の年収の傾向~平均年収の過去10年の推移や性別格差

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不動産鑑定士について
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★30秒でわかる!この記事の内容

  • 不動産鑑定士の平均年収は755万円(厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2019年))。給与所得者の平均年収436万円(国税庁の民間給与実態調査(2019年))と比べて高い収入を得ている。
  • 不動産鑑定士の平均年収の過去10年間の推移をみると566万円~803万円の範囲で推移。3年に一度高くなる傾向があるのは、3年に一度実施される固定資産税評価の報酬によるものと推察
  • サンプル数の多い2016年の賃金構造基本統計調査を分析し、不動産鑑定士の年収の傾向を分析。その分析によると、①平均年収は年齢に比例、②平均年収は経験年数に比例、③平均年収の性別格差あり

超難関資格である不動産鑑定士は、収入という切り口からみてトライするだけの価値のある資格なのでしょうか。

さまざまな統計データを分析すると不動産鑑定士の年収傾向が分かります。

本記事の主題は、「不動産鑑定士の年収」。

不動産鑑定士の年収傾向についてできるだけ詳しく解説させていただきます。

不動産鑑定士は高収入?!

超難関試験である不動産鑑定士試験に合格するために一生懸命勉強するのなら、高い収入くらいは得たいものですが、結論から言うと、不動産鑑定士の平均年収をみる限り、その期待には応えてくれているようです。

不動産鑑定士の平均年収は755万円(厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2019年))。給与所得者の平均年収436万円(国税庁の民間給与実態調査(2019年))と比べて高い収入を得ています。

ちなみに、同じく厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2019年)には職種別の平均年収が示されていますが、それによると、不動産鑑定士の平均年収は弁護士、公認会計士、税理士といった難関国家資格とほぼ同水準。

職種平均年収労働者数
不動産鑑定士7,546千円6人
一級建築士7,029千円2,468人
弁護士7,286千円264人
公認会計士・税理士6,836千円518人
システム・エンジニア5,689千円30,107人
プログラマー4,258千円7,691人

(出所:厚生労働省 賃金構造基本統計調査)

不動産鑑定士は、勉強を頑張るだけの価値のある資格と言っても問題なさそうにも見えますが、気を付けなければならないのはサンプルとなっている労働者数。

他の職種はそれなりのサンプル数がありますが、不動産鑑定士のサンプルはわずか6人。さすがに少なすぎなので、このデータがどこまで正確なのかちょっと微妙な気がします。

不動産鑑定士の平均年収の過去10年間の推移

1年だけで見るとサンプル数が少なすぎますが、期間を長めに見てサンプル数を増やしてあげれば、多少なりとも正確な傾向を把握できるはずです。

賃金構造基本統計調査によると、不動産鑑定士の平均年収の過去10年間566万円~803万円の範囲で推移しています。

2019年のサンプル数はわずか6人でしたが、10年間の累計では217人になります。

それでも少ないですが、多少はデータとしての正確性は高まるはずです。

各年の平均年収を加重平均すると668万円。

2019年の755万円よりも下がりましたが、給与所得者の平均年収436万円(国税庁の民間給与実態調査(2019年))よりも高いと言って間違いなさそうです。

また、弁護士、公認会計士、税理士といった難関国家資格者の平均年収と比べて遜色ない水準であることが確認できます。

2010年2011年2012年2013年2014年
平均年収6,232千円8,030千円6,291千円5,664千円7,089千円
サンプル数2人11人68人27人11人
平均年齢54.9歳42.3歳36.1歳45.4歳45.6歳
2015年2016年2017年2018年2019年
平均年収7,130千円6,927千円7,777千円6,450千円7,546千円
サンプル数6人64人13人11人6人
平均年齢46.7歳46.6歳48.0歳45.8歳46.6歳

(出所:厚生労働省 賃金構造基本統計調査)

過去10年間の推移をもう少し詳しくみてみるとちょっと面白いことが分かります。

厚生労働省 賃金構造基本統計調査に基づき当サイトにて作成

平均年収は2011年、2014年、2017年というふうに3年に一度のサイクルで高くなっています。

実はこれ、3年に一度実施される固定資産税評価の時期に一致していますので、その報酬によるものと推察されます。

10年間の推移は振れ幅が大きいように見えますが、固定資産税評価の報酬を均してみると概ね横ばいで安定的に推移しているものと推察されます。

不動産鑑定士の年収傾向

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過去10年間でサンプル数の最も多い2016年の賃金構造基本統計調査を分析すると、もう少し詳しい不動産鑑定士の年収傾向をつかむことができます。

平均年収は年齢に比例

不動産鑑定士の平均年収は年齢に比例する傾向が見て取れます。

サンプルのなかには不動産鑑定事務所を開業している方だけでなく、大手の鑑定機関や不動産会社、金融機関等に所属している方も多く含まれているはずです。

ですので、一般の会社員と同じような動きになるのかもしれません。

不動産鑑定士だからといって若いうちから高収入が得られるわけではなく、一般の会社員と同じように年齢や役職に比例して収入があがっていく傾向があるようです。

属性平均年収サンプル数
 30~34歳5,593千円3人
 35~39歳6,429千円2人
 40~44歳5,591千円28人
 45~49歳8,734千円2人
 50~54歳8,156千円29人

(出所:厚生労働省 賃金構造基本統計調査)

平均年収は経験年数に比例

不動産鑑定士の平均年収は年齢に比例する傾向が見て取れます。

これも一般の会社員と同じような動きになっています。

不動産鑑定士だからといってすぐに高収入が得られるわけではなく、しっかりと実績を積む必要があるということのようです。

経験年数平均年収サンプル数
1~4年4,951千円2人
5~9年5,814千円18人
10~14年7,870千円29人
15年以上6,851千円15人

(出所:厚生労働省 賃金構造基本統計調査)

平均年収の性別格差あり

、不動産鑑定士の平均年収に関する統計データを見る限りは、性別による格差が見受けられ、女性は男性と比べて平均年収が23%程度少ないようです。

ただし、性別による格差ではなく、職種や経験年数の影響なのかもしれません。

子育てをしながら副業的に独立開業している方がいて、フルタイムで働くよりも収入は少ないものの、時間を有効に使って効率的に稼いでいるという事例も想定されます。

性別平均年収サンプル数
男性7,274千円50人
女性5,612千円14人

(出所:厚生労働省 賃金構造基本統計調査)

なお、国税庁の民間給与実態調査(2019年)による給与所得者の性別格差はもっと大きく、女性は男性と比べて平均給与が45%程度少なくなっています。

性別平均給与
男性5,397千円
女性2,955千円
4,364千円

(出所:国税庁 民間給与実態調査)

国税庁の民間給与実態調査の対象にはパートタイマーや派遣社員等も含まれていますのでその影響もあるのかもしれませんが、性別格差という観点で一般の給与所得者と不動産鑑定士を比較してみると、女性が不動産鑑定士の資格を取るメリットがありそうです。

不動産鑑定士の年収に関する考察

不動産鑑定士の年収は、給与所得者の平均的な年収と比べて高い水準にあると言って間違いないようです。

不動産鑑定士として独立開業できるだけでなく、給与水準の高い大手企業に就職・転職できる可能性があることを示唆していると言えるでしょう。

また、平均値で見れば弁護士、公認会計士、税理士といった難関国家資格者の平均年収と比べても遜色ない水準です。

実際のところ、例えば弁護士の場合は、大手法律事務所のパートナーになると数千万円という超高収入を得られるようになりますが、厳しい競争にさらされてしまうとあまり高い収入を得ることができない、ということもあり得ます。

不動産鑑定士の場合は、仕事柄、数千万円もの高収入を得られる可能性は低いですが、一方で安定的にそこそこの高収入を得られる可能性があるようです。

資格試験の難易度はかなり高いですが、少なくとも収入という切り口だけで見れば、頑張ってトライしてみるだけの価値のある資格と言えるのではないでしょうか。

まとめ

以上が本記事でお伝えしたかった内容です。これまでお話ししてきたことをまとめると以下のとおり。

  • 不動産鑑定士の平均年収は755万円(厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2019年))。給与所得者の平均年収436万円(国税庁の民間給与実態調査(2019年))と比べて高い収入を得ている。
  • 不動産鑑定士の平均年収の過去10年間の推移をみると566万円~803万円の範囲で推移。3年に一度高くなる傾向があるのは、3年に一度実施される固定資産税評価によるものと推察
  • サンプル数の多い2016年の賃金構造基本統計調査を分析し、不動産鑑定士の年収の傾向を分析。その分析によると、①平均年収は年齢に比例、②平均年収は経験年数に比例、③平均年収の性別格差あり

この記事が皆さまのお役に立つと嬉しく思います。

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