オープンイノベーション~ヘンリー・チェスブロウが提唱する方法論

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★30秒でわかる!この記事の内容

  • オープンイノベーションとは、研究開発や製品開発などにおいて内部と外部のアイデアやマーケットパス(市場化経路)を活用するイノベーションの方法論。自前主義(クローズドイノベーション)の限界を克服するための手法。
  • オープンイノベーションを提唱したのはヘンリー・チェスブロウ博士(1956年~)。チェスブロウ博士は、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院の特任教授であり、イノベーション研究の世界的権威。
  • オープンイノベーションに必要なのは、社内外にあるアイデアを融合する研究開発プロセスと社外の知識・技術を社内に取り入れつつ、社内で未活用の知識・技術を積極的に社外に提供するビジネスモデルの構築
  • オープンイノベーションは、従来は1対1の企業・組織による協業(オープンイノベーション1.0)が中心だったが、現在は多対多の連携(オープンイノベーション2.0)や1対多の連携(オープンイノベーション3.0)、自由参加型のコンソーシアムといった様々な形態のオープンイノベーションが登場。環境問題などの社会問題を解決する手段としても注目を集めており、今後さらなる活用が期待される。

 

「オープンイノベーション」は、イノベーションを理解するうえで欠かすことのできない考え方のひとつです。

この記事ではヘンリー・チェスブロウ博士が2003年に提唱した「オープンイノベーション」について解説させていただきます。

オープンイノベーションとは

オープンイノベーションとは、研究開発や製品開発などにおいて内部と外部のアイデアやマーケットパス(市場化経路)を活用するイノベーションの方法論です。

もう少し具体的に言うと、企業が社内だけで研究開発を行うのではなく、他社、大学などの教育機関、官公庁や地方自治体などの公共機関といった外部のアイデアや技術を活用してイノベーションを創出する手法、あるいは自社のなかで未活用のアイデアや技術があれば、これを積極的に外部に提供することでイノベーションを創出する手法です。

1990年頃までは日本が得意としていた垂直統合型のビジネスモデルで、研究開発・製品開発を内製化した自前主義によってさまざまなイノベーションが創出されてきました(クローズドイノベーション)。

その後、1990年代に入るとインターネットの急速な普及、新興国の急成長、グローバルな競争激化といった大きな環境変化によって、企業が製造する新製品は、複雑化・高度化する一方、市場価値の寿命の短期化が進みます。

それによって、自前主義(クローズドイノベーション)による研究開発の優位性が急激に低下していきました。

そこで登場するのが、自前主義に拘らずに積極的に外部と連携するオープンイノベーションです。

オープンイノベーションの父~ヘンリー・チェスブロウ博士

オープンイノベーションを提唱したのは、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院の特任教授であり、イノベーション研究の世界的権威であるヘンリー・チェスブロウ博士(1956年~)。

「オープンイノベーション」の父と言われています。

ヘンリー・チェスブロウ博士は1956年生まれ、イエール大学で経済学を専攻し、1979年に優秀な成績で卒業(summa cum laude:最優等、成績上位5%程度)しました。

ベイン・アンドカンパニーというコンサルティング会社にコンサルタントとして入社しましたが、1981年にはMBA取得のために退社。

1983年にスタンフォード大学ビジネススクールでMBAを取得後、当時、ハードディスクドライブで脚光を浴びていた新進気鋭のベンチャー企業「クアンタム」に入社。

1990年にはクアンタムを退社して、チェスブロウ・アソシエイツというコンサルティング会社を設立。

1993年に入学したカリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得し、1997年にハーバード・ビジネス・スクール准教授として研究者としての道を歩み始めました。

ちなみにクレイトンが「イノベーションのジレンマ」を刊行したのが同じ1997年。

チェスブロウ博士は41歳になっていましたので研究者としてはやや遅めのスタートと言えます。

「Open Innovation: The New Imperative for Creating and Profiting from Technology(Harvard Business School Press)」を発表し、オープンイノベーションを提唱したのは2003年。

同年、カリフォルニア大学バークレー校の准教授に就任し、2005年には教授に就任しました。

オープンイノベーションに必要な要素

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オープンイノベーションに必要なのは次の2つの要素です。

社内外にあるアイデアを融合する研究開発プロセス

オープンイノベーションでは、社外の研究開発(R&D)も有効に活用する必要がありますが、社内の研究開発(R&D)が不要というわけではありません。

社内の研究開発(R&D)と社外の研究開発(R&D)を同じように重視しつつ、社内外にあるアイデアを融合する研究開発プロセスが必要となります。

社外の知識・技術を社内に取り入れつつ、社内で未活用の知識・技術を積極的に社外に提供するビジネスモデル

オープンイノベーションでは、社外の知識・技術を社内に取り入れつつ、社内で未活用の知識・技術を積極的に社外に提供するビジネスモデルを構築する必要があります。

なお、近年の動向としてはコア事業の研究開発(R&D)は従来どおり内製化し、周辺事業はオープンイノベーションを取り入れるといった取捨選択を行う企業も多いようです。

今後のさらなる活用が期待される手法

オープンイノベーションは、垂直統合型のビジネスモデル、自前主義(クローズドイノベーション)の限界、問題点を克服するための手法として提唱されました。

ですので、従来は1対1の企業・組織による協業が中心でしたが、現在は多対多の連携(オープンイノベーション2.0)や1対多の連携(オープンイノベーション3.0)、自由参加型のコンソーシアムといった様々な形態のオープンイノベーションが登場しています。

環境問題などの社会問題を解決する手段としても注目を集めており、今後さらなる活用が期待されています。

まとめ

以上が本記事でお伝えしたかった内容です。これまでお話ししてきたことをまとめると以下のとおり。

  • オープンイノベーションとは、研究開発や製品開発などにおいて内部と外部のアイデアやマーケットパス(市場化経路)を活用するイノベーションの方法論。自前主義(クローズドイノベーション)の限界を克服するための手法。
  • オープンイノベーションを提唱したのはヘンリー・チェスブロウ博士(1956年~)。チェスブロウ博士は、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院の特任教授であり、イノベーション研究の世界的権威。
  • オープンイノベーションに必要なのは、社内外にあるアイデアを融合する研究開発プロセスと社外の知識・技術を社内に取り入れつつ、社内で未活用の知識・技術を積極的に社外に提供するビジネスモデルの構築
  • オープンイノベーションは、従来は1対1の企業・組織による協業が中心だったが、現在は多対多の連携(オープンイノベーション2.0)や1対多の連携(オープンイノベーション3.0)、自由参加型のコンソーシアムといった様々な形態のオープンイノベーションが登場。環境問題などの社会問題を解決する手段としても注目を集めており、今後さらなる活用が期待される。

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