イノベーションとは何か

本サイトのテーマのひとつにもなっている「イノベーション」。

そもそも「イノベーション」とは何なのでしょうか？

この記事のテーマは「イノベーションとは何か」。

イノベーションの定義を整理しつつ、重要性の高い3つのフレームワークをご紹介します。

イノベーションとは何か？

イノベーションとは、「新たな価値を生み出し、社会的な変革をもたらすこと」です。

もともとはビジネスにおいて、新しい技術の開発、新しいビジネスモデルの導出、新しい市場の開拓につながる企業の経営戦略の意味合いが強い言葉でしたが、現在は企業の経営戦略にとどまらず、環境問題などの社会的な課題の解決策としても注目を集めています。

イノベーションにはいくつかの理論・フレームワークがありますが、そのなかでも特に重要性の高い次の３つのフレームワークをご紹介します。

1. シュンペーターのイノベーション
2. イノベーションのジレンマ
3. オープンイノベーション

シュンペーターのイノベーション

イノベーションを最初に提唱したのは、ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター（1883年～1950年）。1912年のことです。

イノベーションを理解するためには、元祖とも言える「シュンペーターのイノベーション」を理解しておくことが重要です。

シュンペーターはオーストリア生まれの経済学者。

20世紀の経済学者の代表格であるケインズのライバルとも言われ、現代経営学の父と言われるドラッガーに最も影響を与えた人物です。

シュンペーターによるイノベーションの定義は、「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」。

シュンペーターはイノベーションを次の５つに分類されます。

1. プロダクト・イノベーション（新しい生産物または生産物の品質の創出）
2. プロセス・イノベーション（新しい生産方法の導入）
3. マーケット・イノベーション（新しい市場の開拓）
4. サプライチェーン・イノベーション（新しい供給源の獲得）
5. オーガニゼーション・イノベーション（新しい組織の実現）

イノベーションを起こすのは「大企業」か「起業家」か。この問いかけに対してじっくり考えることがイノベーションの理解のスタートライン。

イノベーションのジレンマ

NickyPeによるPixabayからの画像

「イノベーションのジレンマ」は、クレイトン・クリステンセン（1952年～2020年）が1997年に提唱した概念です。

数あるイノベーションの定義のなかでも特に重要なフレームワークであり、イノベーションを理解するうえで欠かすことのできない考え方のひとつです。

クリステンセンはハーバード・ビジネス・スクールの教授であり、経営戦略やイノベーションの研究における第一人者。

1997年に刊行した著書「イノベーションのジレンマ」は世界的なベストセラーとなりました。

クリステンセンは2020年ボストンにて息を引き取りました。享年67歳。

クリステンセンは、イノベーションを、従来製品を改良する「持続的イノベーション」と全く新しい価値を生み出す「破壊的イノベーション」に区分しました。

「イノベーションのジレンマ」は「持続的イノベーション」を重視する優良な大手企業は、「破壊的イノベーション」を行うことのできる新興企業に敗北する現象です。

次のイノベーションを起こすのは誰かでしょうか。

いまのところ候補と言える存在は明確になっていませんが、きっと次世代イノベーターは現れるはず。それはもしかしたら私たちかもしれない。

オープンイノベーション

オープンイノベーションとは、研究開発や製品開発などにおいて内部と外部のアイデアやマーケットパス（市場化経路）を活用するイノベーションの方法論で、自前主義（クローズドイノベーション）の限界を克服するための手法。

オープンイノベーションを提唱したのはヘンリー・チェスブロウ博士（1956年～）。

チェスブロウ博士は、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院の特任教授であり、イノベーション研究の世界的権威です。

オープンイノベーションに必要なのは、社内外にあるアイデアを融合する研究開発プロセスと社外の知識・技術を社内に取り入れつつ、社内で未活用の知識・技術を積極的に社外に提供するビジネスモデルの構築することです。

オープンイノベーションは、従来は1対1の企業・組織による協業（オープンイノベーション1.0）が中心でしたが、現在は多対多の連携（オープンイノベーション2.0）や1対多の連携（オープンイノベーション3.0）、自由参加型のコンソーシアムといった様々な形態のオープンイノベーションが登場しています。

環境問題などの社会問題を解決する手段としても注目を集めており、今後さらなる活用が期待されています。

まとめ

以上が本記事でお伝えしたかった内容です。これまでお話ししてきたことをまとめると以下のとおり。

• イノベーションとは、新たな価値を生み出し、社会的な変革をもたらすこと。企業の経営戦略にとどまらず、環境問題などの社会的な課題の解決策としても注目を集めている。イノベーションにはいくつかの理論・フレームワークがあり、なかでも特に重要性の高い次の３つのフレームワークを紹介
• イノベーションを最初に提唱したのは、ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター。イノベーションを理解するためには、元祖とも言える「シュンペーターのイノベーション」を理解しておくことが重要。シュンペーターによるイノベーションの定義は、「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」。
• イノベーションのジレンマは、クレイトン・クリステンセンが1997年に提唱した概念。クリステンセンは、イノベーションを、従来製品を改良する「持続的イノベーション」と全く新しい価値を生み出す「破壊的イノベーション」に区分。イノベーションのジレンマとは、「持続的イノベーション」を重視する優良な大手企業は、「破壊的イノベーション」を行うことのできる新興企業に敗北する現象。
• オープンイノベーションとは、研究開発や製品開発などにおいて内部と外部のアイデアやマーケットパスを活用するイノベーションの方法論で、自前主義（クローズドイノベーション）の限界を克服するための手法。オープンイノベーションを提唱したのはヘンリー・チェスブロウ。従来は1対1の企業・組織による協業が中心だったが、現在は多対多の連携や1対多の連携、自由参加型のコンソーシアムといった様々な形態のオープンイノベーションが登場。環境問題などの社会問題を解決する手段としても注目を集めており、今後さらなる活用が期待されている。