反復学習&分散学習~記憶が定着する学習法【戦略的勉強法4】

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勉強法
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★30秒でわかる!この記事の内容

  • 人間は一度覚えても時間が経つと忘れてしまうもの。覚えたことを忘れずに長く記憶しておくには復習を繰り返す「反復学習」と「分散学習」が効果的。
  • 「反復学習」は根気を必要とするため、半信半疑のままだとなかなか続けられない。「忘却のメカニズム(エビングハウスの忘却曲線)」と「反復で記憶が定着するメカニズム(記憶の二重貯蔵モデル)」を理解できれば「反復学習」の有効性が腑に落ちるはず。
  • 「反復学習」のコツは、忘れそうなタイミングで繰り返し復習する「分散学習」を併用すること。最適な間隔と頻度は「ウォズニアックの間隔反復」が参考になる。少しずつ微調整しつつ自分に合ったタイミングにアレンジすることで「反復学習」と「分散学習」の効果を最大化しよう。

「昨日覚えたはずなのに何一つ覚えていない・・・」

誰もが一度はそんなショッキングな経験をしたことがあるのではないでしょうか。

人が忘れるのは宿命のようなものですが、対策として特に効果が高いのは「反復学習」と「分散学習」。

今回は「反復学習」と「分散学習」の有効性やちょっとしたコツなどを徹底的に解説いたします!

「反復学習」を極めよう!

人間は一度覚えても時間が経つと忘れてしまうものです。

一度覚えたものを忘れるくらいならまだしも、二度も三度も覚え直したにもかかわらず、なかなか定着せず忘れてしまったりします。

「忘却」はイヤな記憶をため込まないための優れたメカニズムですが、こと勉強に関して言えば非常に厄介な性質です。

覚えたことを忘れずに長く記憶しておくにはどうしたらいいのでしょうか。

人類が直面するこの難題については古くから数多くの研究がなされ、さまざまなメソッドが開発されてきました。

「書いて覚える」「声に出して覚える」「語呂合わせで覚える」「ストーリーで覚える」「イメージで覚える」「関連づけて覚える」「五感をフル活用して覚える」「実践で覚える」「覚えたらすぐ寝る」「睡眠学習」「丸暗記」・・・。

多くの方法があり、それなりに効果があったり、なかったりしますが、特に効果が高いのは結局のところ復習を繰り返す「反復学習」です。

昔から「予習」と「復習」が大切などと言われ続けていますし、当たり前すぎて面白味に欠けるかもしれません。

やはり勉強には「秘儀」だとか「奥の手」なんてないのか、と残念に思われるかもしれませんが、実は「反復学習」の効果を信じて、これを極めることこそが「秘儀」であり「奥の手」なのです。

「反復学習」は根気を必要としますので、いくら効果的だと言われても、半信半疑のままではとても続けられるものではありません。

でも、その有効性が本当だとしたらどうでしょう?

「反復学習」を続けさえすれば確実に長く記憶できるとしたら、根気よく頑張ることもできるようになるのではないでしょうか。

「忘却のメカニズム(エビングハウスの忘却曲線)」と「反復で記憶が定着するメカニズム(記憶の二重貯蔵モデル)」を知れば、「反復学習」の有効性が腑に落ちるはずです。

エビングハウスの忘却曲線

覚えたことを忘れていく「忘却のメカニズム」に関しては、ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが示した忘却曲線が有名です。

エビングハウスは、「無意味な音節」を記憶したあと、一度覚えた音節を再び覚え直すまでに必要な時間(または回数)に着目し、どれくらい節約できるかを表す割合(節約率)を用いて、以下のような結果を導き出しました。この結果を図示したものが「忘却曲線」です。

  • 20分後 :節約率⇒58%
  • 1時間後:節約率⇒44%
  • 9時間後:節約率⇒36%
  • 1日後 :節約率⇒34%
  • 2日後 :節約率⇒28%
  • 6日後 :節約率⇒25%
  • 1ヶ月後:節約率⇒21%

この忘却曲線によると、覚えてからすぐに覚え直せば節約率が高く、少ない時間で再度覚えられますし、覚えてから時間が経てば経つほど節約率が低く、もう一度覚えるのに時間を要してしまいます。

ただし、エビングハウスの実験が「無意味な音節」を用いたもの、という点には注意が必要です。

私たちが勉強して覚えたいのは「無意味な音節」ではありません。

単語だったり、文章だったり、数字だったり、形式は様々ですが、それなりに意味のある事柄ですので、「無意味な音節」のように覚えにくかったり、忘れやすかったり、というものでもありません。

この「エビングハウスの忘却曲線」によって理解すべきは、「時間と節約率の関係そのもの」ではなく「覚えたことは時間とともに徐々に忘れていく忘却のメカニズム」です。

「エビングハウスの忘却曲線」によって、一度覚えたくらいでは時間とともに忘れてしまう可能性が高い、という事実は真摯に受け止めるべきですが、逆にもう一度覚え直すこと(復習)が記憶のカギを握っていることがわかります。

では、確実に長く記憶するためにはどうしたらいいのかというと、忘れても諦めず何度も繰り返すことが重要となります。

記憶の二重貯蔵モデル(マルチストアモデル)

「何度も繰り返していくうちに記憶が定着する」というメカニズムは、記憶の二重貯蔵モデル(マルチストアモデル)で説明することができます。

記憶の二重貯蔵モデルとは、人間の記憶システムが短期記憶と長期記憶から構成されていると考えるモデルです。

短期記憶とは数十秒とか数十分といった短時間に貯蔵される記憶です。一度に保持できるのは7±2個程度で、保持された記憶も時間の経過とともにどんどん忘れていってしまいます。

一方、長期記憶とは大量の情報を長期間にわたって貯蔵できる記憶です。経験に基づくエピソード記憶や言葉の意味や知識などの意味記憶、自転車の乗り方、楽器の弾き方などのように動作として身についた手続き記憶があります。

短期記憶として貯蔵された記憶も、「リハーサル」と呼ばれる情報の反復によって長期記憶に転送されます。

この記憶の二重貯蔵モデルによれば、勉強で得られた短期記憶も「何度か繰り返していくうちに」長期記憶として定着するというわけです。

「反復学習」の有効性

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「反復学習」は根気を必要とするため、半信半疑のままだとなかなか続けられません。

でも、「忘却のメカニズム(エビングハウスの忘却曲線)」と「反復で記憶が定着するメカニズム(記憶の二重貯蔵モデル)」によって記憶の仕組みを理解できれば「反復学習」の有効性が腑に落ちるはずです。

「反復学習」は単調で根気な作業ですが、見方を変えれば、とても簡単ですぐにでも始められます。

しかも、効果の高いメソッドならば、使わない手はありません。

「反復学習」の効果を信じて、これを極めることができれば、必ず記憶の効率が上がるはずです。

「反復学習」はまさに「秘儀」であり「奥の手」と言えます。

「反復学習」のコツは「分散学習」を併用

続いて「反復学習」のコツについて解説いたします。

「反復学習」のコツは「分散学習」の併用と、忘れそうなタイミングで繰り返し復習することです。

「分散学習」は、一つのことを一度きりの学習で覚えるのではなく、数回に分けて記憶していく学習方法です。

ペンキを何度も重ね塗りするように、記憶を頭の中に定着させていくようなイメージです。反対に「集中学習」は一夜漬けのように一度の学習で覚えてしまうこと。

短期的には効果はあるかもしれませんが、資格試験のようにじっくり取り組まなければならない場合にはあまり効果的とは言えません。

「反復学習」のコツは「分散学習」を併用することです。

また、記憶に残っているうちに復習しても、実はそれほど高い効果は得られません。

なぜなら、脳は、すでに覚えている情報に触れても、あまり重要な情報として認識せず、長期記憶に転送されにくいからです。

逆にきれいさっぱり忘れてしまっても、今度は再度覚えるのに時間がかかってしまい非効率です。

ですので、忘れかけたくらいの絶妙なタイミングで復習するのがベスト、ということになります。

忘れかけたくらいのタイミングで復習すると、脳が「長く覚えておくべき重要な情報」と認識して、長期記憶に転送されやすくなるわけです。

もう一つ大切なのは反復の回数です。

反復は何回くらい繰り返したらいいのでしょうか。

反復の回数が少なすぎると効果が薄くなりますし、多すぎても時間と労力の無駄になります。

反復には最適な間隔と頻度があり、それを見つけることができれば「反復学習」の効果を最大限に引き出すことができるはずです。

最適な間隔と頻度を見つけるヒントは「ウォズニアックの間隔反復」にあります。

ポーランド人研究者のピョートル・ウォズニアックは、自らを実験台にいくつかの間隔と頻度のパターンを試して、以下の間隔と頻度が最適との結論を導き出しました。

  •  1回目の復習:翌日
  •  2回目の復習:7日後
  •  3回目の復習:16日後
  •  4回目の復習:35日後
  •  5回目の復習:62日後

忘れかけるタイミングはもちろん個人差がありますが、「ウォズニアックの間隔反復」は最適な間隔と頻度を探るうえでとても参考になります。

まずは「ウォズニアックの間隔反復」をそのまま試してみて、少しずつ微調整しつつ自分に合ったタイミングにアレンジすれば、「反復学習」と「分散学習」の効果を最大化することができるはずです。

まとめ

以上が記事でお伝えしたかった内容です。これまでお話ししてきたことをまとめると以下のとおり。

  • 人間は一度覚えても時間が経つと忘れてしまうもの。覚えたことを忘れずに長く記憶しておくには復習を繰り返す「反復学習」と「分散学習」が効果的
  • 「反復学習」は根気を必要とするため、半信半疑のままだとなかなか続けられない。「忘却のメカニズム(エビングハウスの忘却曲線)」と「反復で記憶が定着するメカニズム(記憶の二重貯蔵モデル)」を理解できれば「反復学習」の有効性が腑に落ちるはず。
  • 「反復学習」のコツは、忘れそうなタイミングで繰り返し復習する「分散学習」を併用すること。最適な間隔と頻度は「ウォズニアックの間隔反復」が参考になる。少しずつ微調整しつつ自分に合ったタイミングにアレンジすることで「反復学習」と「分散学習」の効果を最大化しよう

この記事が皆さまのお役に立つと嬉しく思います。

 

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