不動産鑑定士試験の内容・試験科目・出題範囲・出題形式

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不動産鑑定士について
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★30秒でわかる!この記事の内容

  • 不動産鑑定士試験の目的は、不動産鑑定士を目指す人が必要な学識とその応用能力を持っているかどうかを判定すること
  • 短答式試験では「行政法規」「鑑定理論」の2科目、論文式試験では「民法」「経済学」「会計学」「鑑定理論」の4科目が論文式で出題され、各科目とも広範囲にわたる基礎知識に関して体系的・本質的理解が必要。
  • 広範囲かつ体系的・本質的理解が求められるのは、不動産鑑定士が、不動産のプロフェッショナル、スペシャリストとして専門的知見と幅広い知識を必要とするため。

不動産鑑定士試験を受けてみよう!そうと決めたら、次に思い浮かぶのは以下のような疑問ではないでしょうか。

「不動産鑑定士試験って具体的にはどんな内容?」

この記事では、そんな疑問にお答えすべく、不動産鑑定士試験の内容・試験科目・出題範囲・出題形式について、できるだけ詳しく解説させていただきます。

不動産鑑定士試験の目的

不動産鑑定士試験の内容・出題範囲を確認するにあたり、まずは試験の目的と方法、試験科目が「不動産の鑑定評価に関する法律」にどのように記載されているかを確認しておきましょう。

(不動産鑑定士試験の目的及び方法)
第8条 不動産鑑定士試験は、不動産鑑定士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することをその目的とし、次条に定めるところによって、短答式(択一式を含む。以下同じ。)及び論文式による筆記の方法により行う。
(不動産鑑定士試験の試験科目)
第9条 短答式による試験は、不動産に関する行政法規及び不動産の鑑定評価に関する理論について行う。
2 論文式による試験は、短答式による試験に合格した者及び次条第一項の規定により短答式による試験を免除された者につき、民法、経済学、会計学及び不動産の鑑定評価に関する理論について行う。

不動産鑑定士試験の試験科目

不動産鑑定士試験は短答式試験と論文式試験の2段階選抜方式です。

各試験の具体的な試験科目、試験時間、出題数、出題形式は次のとおり。

<短答式試験>

試験科目不動産に関する行政法規(行政法規)
不動産の鑑定評価に関する理論(鑑定理論)
試験時間行政法規:10:00~12:00(120分)
鑑定理論:13:30~15:30(120分)
出題数・配点行政法規:出題数40問、配点100点
鑑定理論:出題数40問、配点100点
出題形式五肢択一マークシート方式

<論文式試験>

試験科目民法
経済学
会計学
不動産の鑑定評価に関する理論(鑑定理論)
試験日時民 法        :1日目10:00~12:00(120分)
経済学       :1日目13:30~15:30(120分)
会計学       :2日目10:00~12:00(120分)
鑑定理論(論文):2日目13:30~15:30(120分)
鑑定理論(論文):3日目10:00~12:00(120分)
鑑定理論(演習):3日目13:30~15:30(120分)
出題数・配点民 法       :出題数2問、配点100点
経済学       :出題数2問、配点100点
会計学       :出題数2問、配点100点
鑑定理論(論文):出題数2問、配点100点
鑑定理論(論文):出題数2問、配点100点
鑑定理論(演習):出題数1問、配点100点
出題形式論文式(演習による出題を含む)

不動産鑑定士試験の出題範囲

次は、短答式試験と論文式試験における各科目の出題範囲です。

短答式試験

不動産に関する行政法規(行政法規)

出題範囲土地基本法、不動産の鑑定評価に関する法律、地価公示法、国土利用計画法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、建築基準法、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(建物の区分所有等に関する法律の引用条項を含む。)、不動産登記法、土地収用法、土壌汚染対策法、文化財保護法、農地法、所得税法(第1編から第2編第2章第3節までに限る。)、法人税法(第1編から第2編第1章第1節までに限る。)、租税特別措置法(第1章、第2章並びに第3章第5節の2及び第6節に限る。)、地方税法、都市緑地法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、宅地造成等規制法、宅地建物取引業法、自然公園法、自然環境保全法、森林法、道路法、河川法、海岸法、公有水面埋立法、国有財産法、相続税法、景観法、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、不動産特定共同事業法(第1章に限る。)、資産の流動化に関する法律(第1編及び第2編第1章に限る。)、投資信託及び投資法人に関する法律(第1編、第2編第1章及び第3編第2章第2節に限る。)、金融商品取引法(第1章に限る。)
問われる内容行政法規では、不動産鑑定士が実際に鑑定評価を行う際に必要となる37の法律についての基本的知識を問われます。

不動産の鑑定評価に関する理論(鑑定理論)

出題範囲不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項
問われる内容「不動産鑑定評価基準」と「運用上の留意事項」は、国土交通省が制定し、不動産鑑定士が実際に不動産の鑑定評価を行う際に規範とすべきものです。鑑定理論では、不動産鑑定士がどのような理論と手順で不動産の鑑定評価を行うか、といった基本的知識を問われます。

論文式試験

民法

出題範囲民法、第1編(総則)、第2編(物権)、第3編(債権)を中心に、同法第4編(親族)及び第5編(相続)並びに次の特別法を含みます。
借地借家法、建物の区分所有等に関する法律
問われる内容民法は私法の一般法を定めた法律。かいつまんで言えば、社会生活における権利だとか義務だとか、家族関係だとか相続だとか、についての基本的ルールを定めたものです。内容は不動産に関連するものが中心。「民法」のほか「借地借家法」と「建物の区分所有等に関する法律」も出題範囲になっています。論文での解答になりますので、体系的・本質的理解が必要です。

経済学

出題範囲ミクロ及びマクロの経済理論と経済政策論
問われる内容企業や消費者がどのような経済行動を分析対象とするミクロ経済学と国または世界経済全体を分析対象とするマクロ経済学に関する知識を問われます。論文での解答になりますので、体系的・本質的理解が必要です。

会計学

出題範囲財務会計論(企業の財務諸表の作成及び理解に必要な会計理論、関係法令及び会計諸規則を含む。)
問われる内容企業が公表する財務諸表の作成に関わるルールと、そのルールの基礎となっている理論の知識を問われます。論文での解答になりますので、体系的・本質的理解が必要です。

不動産の鑑定評価に関する理論(鑑定理論)

出題範囲不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項
問われる内容鑑定理論は3単位の時間で、論文問題が4問、演習問題が1問出題されます。
論文問題は、実際に鑑定評価を行う際の鑑定理論に関する知識を問われます。論文での解答になりますので、体系的・本質的理解が必要です。
演習問題は、不動産の鑑定評価に関するケーススタディで、鑑定評価手法を用いて不動産の鑑定評価を行います。具体的には電卓を使って計算し、プロセスを明示しながら鑑定評価額を決定する問題です。計算問題になりますので、体系的・本質的理解が必要です。

幅広い分野の体系的・本質的理解を問われる試験

不動産鑑定士試験では、短答式試験で行政法規と鑑定理論の2科目、論文式試験で民法、経済学、会計学、鑑定理論の4科目の出題があり、とても幅広い分野に関する知識が問われます。

特に論文式試験では、問われたことに対して文章で解答する必要がありますので、体系的・本質的な「理解」が必要です。

不動産の鑑定評価は、評価対象となる不動産に対して、経済環境、不動産市況、所在する地域の状況、その不動産固有の状況等の分析を加えつつ、経済原理に基づく価格形成メカニズムを当てはめて理論上の価格を算出することです。

鑑定評価を行うためには鑑定理論や行政法規だけでなく、法務、税務、会計、経済といった幅広い知識を必要とします。

不動産鑑定士は、不動産のスペシャリストとして専門的知見と幅広い知識を必要としますので、不動産鑑定士試験でも広範囲かつ体系的・本質的理解が求められるわけです。

逆に言えば、不動産鑑定士試験で問われている内容は、不動産鑑定士として仕事をするために必要な知識ばかり。

しっかりと勉強して身に着けた知識は、将来、実務に携わる際にもきっと役に立つはずです。

まとめ

以上が本記事でお伝えしたかった内容です。これまでお話ししてきたことをまとめると以下のとおり。

  • 不動産鑑定士試験の目的は、不動産鑑定士を目指す人が必要な学識とその応用能力を持っているかどうかを判定すること
  • 短答式試験では「行政法規」「鑑定理論」の2科目、論文式試験では「民法」「経済学」「会計学」「鑑定理論」の4科目が論文式で出題され、各科目とも広範囲にわたる基礎知識に関して体系的・本質的理解が必要。
  • 広範囲かつ体系的・本質的理解が求められるのは、不動産鑑定士が、不動産のスペシャリストとして専門的知見と幅広い知識を必要とするため。

この記事が皆さまのお役に立つと嬉しく思います。

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