★30秒でわかる!この記事の内容
- 不動産鑑定士試験は短答式試験と論文式試験の2段階選抜方式。各試験に合格するための必要勉強時間の目安は、短答式試験が1,000時間程度、論文式試験が2,000~3,000時間、不動産鑑定士試験全体で言えば3,000~4,000時間。
- 同じ年に短答式試験と論文式試験の両方合格を目指す「短期戦略」と、1年目は短答式試験合格に集中し、2年目は論文式試験合格に集中する「長期戦略」とに分かれる。「短期戦略」はハイリスク・ハイリターン、「長期戦略」はローリスク・ローリターン。どちらの戦略もそれぞれ一長一短あり。
- 学力は勉強時間に比例。勉強時間をしっかり確保することが合格のカギ。早めに勉強を開始すると合格する確率が高くなる傾向がある。ただし、試験本番に実力のピークを持っていくため勉強開始のタイミングを計ることも大切
不動産鑑定士試験を受ける場合、日々の暮らしのなかから勉強時間を捻出しなければなりません。やはり思い浮かぶのは次のような疑問かと思います。
「不動産鑑定士試験に合格するためにはどれくらい勉強すればいいの?」
この記事では、そんな疑問にお答えすべく、不動産鑑定士試験に合格するために必要な勉強時間について、できるだけ詳しく解説させていただきます。
必要勉強時間は3,000~4,000時間
短答式試験と論文式試験の2段階方式
不動産鑑定士試験は短答式試験と論文式試験の2段階選抜方式です。
短答式試験に合格すると論文式試験を論文式試験の受験資格を獲得し、2年間は短答式試験の免除を受けることができます。
短答式試験、論文式試験はいずれも年に1回実施されます。
短答式試験の試験日は5月中旬、論文式試験の試験日は7月下旬~8月上旬ですので、最短であれば同じ年に両方の試験をクリアすることも可能です。
ただ、短答式試験から論文式試験までの期間は2ヶ月余り。
わずか2ヶ月余りの勉強時間だけで論文式試験に合格するのはなかなかの至難の業。
ですので、最短での合格を目指すのであれば、短答式試験対策と論文式試験対策を同時に行うのが理想です。
また、出題形式は異なるものの、不動産の鑑定評価に関する理論(鑑定理論)は、短答式試験と論文式試験に重複した試験科目であり、なおかつ暗記が大きなウエイトを占める科目でもあることから同時並行で勉強をすすめるほうが効率的と言えます。
短答式試験に合格したあと、その年の論文式試験に合格できなくても、短答式試験の合格から2年以内に行われる短答式試験は申請により免除になります。
つまり、短答式試験に合格した年を含めて3回までであれば短答式試験を受けることなく論文式試験を受験することができます。
1回目 | 2回目 | 3回目 | |
短答式試験 | 合格 | 免除 | 免除 |
論文式試験 | 不合格 | 不合格 | 不合格 |
同じ年に短答式試験と論文式試験の両方合格を目指す「短期戦略」と、1年目は短答式試験合格、2年目は論文式試験合格に、それぞれ集中する「長期戦略」とに分かれますので、必要勉強時間についても2つの戦略で大きく差が出てくるわけでます。
どちらの戦略もそれぞれ一長一短。後ほど詳しく解説しますので、まずは短答式試験と論文式試験のそれぞれについて合格するために必要な勉強時間の目安を確認します。
短答式試験合格に必要な勉強時間は1,000時間程度
短答式試験の試験科目は「鑑定理論」と「行政法規」の2科目で、出題形式は五肢択一マークシート方式です。
各科目の必要勉強時間の目安は以下のとおり。
試験科目 | 必要勉強時間(目安) |
不動産に関する行政法規(行政法規) | 300~400時間 |
不動産の鑑定評価に関する理論(鑑定理論) | 600~700時間 |
論文式試験合格に必要な勉強時間は2,000~3,000時間
論文式試験の試験科目は「鑑定理論」「民法」「会計学」「経済学」の4科目。ただし、鑑定理論は論文問題が2回、演習問題1回の計3回に分けて実施されるため、半分のウエイトを占めます。出題形式は論文式(演習含む)。
各科目の必要勉強時間の目安は以下のとおり。
試験科目 | 必要勉強時間(目安) |
民法 | 300~400時間 |
経済学 | 300~400時間 |
会計学 | 300~400時間 |
不動産の鑑定評価に関する理論(鑑定理論) | 1,100~1,800時間 |
鑑定理論は、「短期戦略」で1,100時間、「長期戦略」で1,800時間といったイメージです。「短期戦略」のほうは短答式試験と同時並行で勉強できる分、勉強時間を効率化できるわけです。
「短期戦略」と「長期戦略」のメリット・デメリット
不動産鑑定士試験は短答式試験と論文式試験の2段階選抜方式で、短答式試験の免除制度があることから、同じ年に短答式試験と論文式試験の両方合格を目指す「短期戦略」のほか、1年目は短答式試験対策に、2年目は論文式試験対策にそれぞれ集中する「長期戦略」も考えることができます。
必要勉強時間で言えば、あくまでも一例ですが、平日5時間、休日10時間の勉強時間を確保するケースを想定すると、「短期戦略」は15ヶ月(3,000時間)、「長期戦略」は21ヶ月(4,000時間)の期間を要する計算が成り立ちます。
効率重視の「短期戦略」
「1年戦略」は同じ年に短答式試験と論文式試験の両方合格を目指す戦略です。
鑑定理論は、短答式試験と論文式試験に重複した試験科目であり、なおかつ暗記が大きなウエイトを占める科目でもあることから同時並行で勉強をすすめるほうが効率的。
つまり、「短期戦略」は効率重視の戦略です。
平日5時間、休日10時間の勉強時間を確保するケースを想定した場合、論文式試験の試験日の15ヶ月前の5月頃から勉強を開始し、短答式試験対策と論文式試験対策を同時に進めていきます。
この戦略であれば、3,000時間程度の勉強時間で効率的に合格を目指すことも可能と考えられます。
デメリットとしては、万一、論文式試験に不合格だった場合、その翌年まで少なくとも学力を維持するために勉強を継続しなければならず、プラス12ヶ月(2,000時間)程度、合計で27ヶ月(5,000時間)程度は余分に時間を要することになります。
結果として長期戦略よりも長い期間を要してしまうこともありうるわけです。
リターンは大きいけれど、リスクも大きい戦略と言えます。
確実重視の「長期戦略」
「長期戦略」は、1年目は短答式試験対策に、2年目は論文式試験対策に、それぞれ集中して、確実な合格を目指す戦略です。
平日5時間、休日10時間の勉強時間を確保するケースを想定した場合、論文式試験の試験日の21ヶ月前、前々年11月頃から勉強を開始し、まずは短答式試験対策を行い、短答式試験終了後から論文式試験対策を行います。
この戦略であれば、短答式試験対策に1,000時間、論文式試験対策に3,000時間程度の勉強時間を確保し、合格できる実力を確実につけることを目指せます。
デメリットとしては、「短期戦略」に比べるとやや非効率で勉強期間が長くなってしまうこと。
リスクは小さいけれど、リターンも小さい戦略と言えます。
以上が「短期戦略」と「長期戦略」のメリット・デメリット。
1日あたりの勉強時間を調整することで、勉強する期間を長くしたり、短くしたりすることも可能です。
勉強時間確保が合格のカギ
不動産鑑定士試験に受験資格はなく、誰でも受験することができます。
正真正銘の実力勝負。「えこひいき」も「忖度」もなく、あるのは本人の「努力」だけ。
勉強すればしただけ必ず力が身につき、合格が着実に近づいてきます。
計画や戦略、効率的な学習はもちろん大切ですが、やはり学力は勉強時間に比例します。努力はウソをつきません。
勉強時間をしっかり確保することこそが合格のカギ。なので、早めに勉強を開始することが何よりも効果的です。
一般に早めに勉強を開始すると合格する確率が高くなる傾向があります。これは早めに開始することでより多くの勉強時間を確保できるからです。
ただし、勉強開始が早すぎても途中で飽きてしまって中だるみが生じてしまう可能性があります。
人間は一度覚えたことでも時間が経てば忘れてしまうもの。せっかく覚えた知識も維持するためには勉強を継続しなければなりません。試験本番まで時間がありすぎると覚えた知識を維持するためだけの勉強が必要になり、やや非効率です。
試験本番に実力のピークを持っていって良い状態で試験に臨むために、勉強開始のタイミングはしっかりと考える必要があります。
まとめ
以上が本記事でお伝えしたかった内容です。これまでお話ししてきたことをまとめると以下のとおり。
- 不動産鑑定士試験は短答式試験と論文式試験の2段階選抜方式。各試験に合格するための必要勉強時間の目安は、短答式試験が1,000時間程度、論文式試験が2,000~3,000時間、不動産鑑定士試験全体で言えば3,000~4,000時間。
- 同じ年に短答式試験と論文式試験の両方合格を目指す「短期戦略」と、1年目は短答式試験合格に集中し、2年目は論文式試験合格に集中する「長期戦略」とに分かれる。「短期戦略」はハイリスク・ハイリターン、「長期戦略」はローリスク・ローリターン。どちらの戦略もそれぞれ一長一短あり。
- 学力は勉強時間に比例。勉強時間をしっかり確保することが合格のカギ。早めに勉強を開始すると合格する確率が高くなる傾向がある。ただし、試験本番に実力のピークを持っていくため勉強開始のタイミングを計ることも大切
この記事が皆さまのお役に立つと嬉しく思います。
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