★30秒でわかる!この記事の内容
- 不動産鑑定士になるためには、①国家資格試験である不動産鑑定士試験に合格し、②実務修習の修了を経て、③国土交通省に備える不動産鑑定士名簿に登録することが要件
- まずは①不動産鑑定士試験に合格することが先決。不動産鑑定士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階で実施。
- 試験に合格したら、②講義、基本演習、実施演習の3単元から構成される「実務修習」を受け、修了考査に合格することが必要
- ③国土交通省に備える不動産鑑定士名簿への登録を受けたら、晴れて不動産鑑定士に!
不動産鑑定士になるためには、不動産鑑定士試験に合格するだけでなく、実務修習を受けたり、不動産鑑定士名簿への登録を受けたりと、いくつかの手続き、要件が必要になります。
ということで、この記事の主題は「不動産鑑定士になるには」。不動産鑑定士になるまでの流れをできるだけ詳しく解説させていただきます。
不動産鑑定士になるには
不動産鑑定士になるためには、もちろん不動産鑑定士試験に合格する必要がありますが、実はそれだけで足りません。
試験に合格しただけでは、あくまでも「不動産鑑定士になるための資格を有している」に過ぎないわけです。
不動産鑑定士として必要な技能及び高等の専門的応用能力を修得するために「実務修習」を受ける必要があり、「実務修習」の修了が認められ、国土交通大臣の修了の確認を受けたのち、国土交通省に備える不動産鑑定士名簿への登録を受ける必要があります。
不動産鑑定士になるための要件を整理すると以下のとおり。
- 国家資格試験である不動産鑑定士試験に合格
- 国土交通大臣の登録を受けた実務修習機関が実施する実務修習の修了
- 国土交通省に備える不動産鑑定士名簿への登録
それぞれのステップについて、もう少し詳しく解説したいと思います。
不動産鑑定士試験の合格
不動産鑑定士になるためには、何はともあれ国家資格試験である不動産鑑定士試験の合格することが先決です。
不動産鑑定士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階で実施されます。
短答式試験は、毎年5月に実施されます。
試験科目は「鑑定理論」と「行政法規」の2科目、試験形式は五肢択一のマークシート方式です。
短答式試験に合格すると、次の論文式試験を受けることができます。
論文式試験は毎年8月に実施されます。
試験科目は「鑑定理論(論文)」「鑑定理論(演習)「民法」「会計学」「経済」の5科目、試験形式は記述方式です。
なお、短答式試験に合格すると、その年の論文式試験で不合格の場合も、短答式試験の合格から2年以内に行われる短答式試験は申請により免除になります。つまり、短答式試験に合格した年を含めて3回までであれば短答式試験を受けることなく論文式試験を受験することができるわけです。
最難関資格の一つだけに、試験合格のステップを通過することが何よりも重要であり、腰を据えてじっくりと勉強する必要があります。
時間も労力もかかりますので、合格がゴールのような気がしてしまいますが、試験に合格しただけでは「不動産鑑定士になるための資格を有するもの」に過ぎません。
「不動産鑑定士になる」という意味では、不動産鑑定士試験はゴールではなくあくまでも通過点に過ぎません。
実務修習の修了
不動産鑑定士になるためには、不動産鑑定士として必要な技能及び高等の専門的応用能力を修得するために「実務修習」を受けなければなりません。
実務修習は以下の3単元で構成されています。
- 講義
- 基本演習
- 実地演習
さらに実務修習修了後、修了考査を受けてこれに合格する必要があります。
講義
不動産の鑑定評価の実務に関する講義です。
不動産の鑑定評価実務に関する基礎知識を習得する講義で、インターネットを活用した学習形態、いわゆるeラーニングで受講します。
講義は16科目あり、講義終了後には確認テストが行われます。
確認テストの合格は実務修習の修了要件になっています。
基本演習
基本演習は、実際に鑑定評価の成果物である鑑定評価報告書を作成する演習です。
実務修習に参加する不動産鑑定士の候補生が集合して演習を行う形式で、東京では4回に分けて合計10日間の演習を行います。
基本演習では、4人一組になりグループ単位で現地調査から鑑定評価書の作成まで討議しながら最終的には各自が鑑定評価書を作成します。
実地演習
実地演習が実務修習における最大の山場。
実地演習実施機関である全国の鑑定事務所や大学等で実際に鑑定評価実務を行っている指導鑑定士の指導を受けながら実地で鑑定評価報告書を作成する演習です。
物件調査実地演習と一般実地演習により構成されており、1年コースと2年コースの選択制になっています。
物件調査実地演習は一般実地演習の前に必ず実施にしなければならない物件調査の演習です。
一般実地演習は、指導鑑定士から指導を受けながら鑑定評価報告書を作成する演習です。
合計で13件の鑑定評価報告書を作成する必要があります。
修了考査
実務修習を修了したら、不動産鑑定士として必要な技能及び高等の専門的応用能力を修得できたかどうかを確認する「修了考査」を受けなければなりません。
修了考査には、記述考査と口述考査があります。
記述考査では、多肢択一式問題と論文式問題が出題され、これを2時間で解答する必要があります。
口述考査では、3人の審査員と3対1での面接形式で行われます。
実地演習で作成した13件の鑑定評価報告書のなかから評価内容について質問されますので、鑑定評価のプロセスについて口頭で答える必要があります。
修了考査は実務修習にしっかりと取り組んでいれば合格できますが、誰でも合格できるというものではありません。
合格率は90%に満たないくらいの水準で推移していますので、ある程度の事前準備は必要と考えられます。
実務修習を修了し、修了考査に合格したら、「不動産の鑑定評価に関する法律第14条の23」に基づく実務修習のすべての課程についての国土交通大臣の確認を得たことになります。
不動産鑑定士名簿への登録
いよいよ最後のステップ。
実務修習を修了し、修了考査に合格したら、「不動産の鑑定評価に関する法律第14条の23」に基づく実務修習のすべての課程についての国土交通大臣の確認を得たことになります。その確認を得たのち、国土交通省に備える不動産鑑定士名簿への登録を受けたら、晴れて「不動産鑑定士」になることができます。
まとめ
以上が本記事でお伝えしたかった内容です。これまでお話ししてきたことをまとめると以下のとおり。
- 不動産鑑定士になるためには、①国家資格試験である不動産鑑定士試験に合格し、②実務修習の修了を経て、③国土交通省に備える不動産鑑定士名簿に登録することが要件
- まずは①不動産鑑定士試験に合格することが先決。不動産鑑定士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階で実施。
- 試験に合格したら、②講義、基本演習、実施演習の3単元から構成される「実務修習」を受け、修了考査に合格することが必要
- ③国土交通省に備える不動産鑑定士名簿への登録を受けたら、晴れて不動産鑑定士に!
この記事が皆さまのお役に立つと嬉しく思います。
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