★30秒でわかる!この記事の内容
- 宅建士と不動産鑑定士は、いずれも不動産の専門家だけあって両資格の相性は抜群によく、ダブルライセンスによる学習面・実務上の相乗効果が高い
- 宅建士の資格を取得したら、不動産鑑定士の資格も取得してダブルライセンスを目指すのがおすすめ。不動産鑑定士とのダブルライセンスには8つのメリットがある。具体的には、学習面でのアドバンテージが2つ、実務上のメリットが5つ。
- 宅建試験の勉強で得た知識を不動産鑑定士試験の勉強に活かせる
- 不動産鑑定士試験対策の通学講座・通信講座の割引制度を利用できる
- 資格の希少性から就職・転職が有利になる
- 独立開業の可能性がアップする
- 社会的信用力がアップする
- 仕事の幅が広がる
- 継続的取引により顧客基盤が安定する
- 競争の少ない環境で経営基盤が安定する
- 不動産鑑定士試験は超難関。目指すのにはそれなりの覚悟が必要であるが、得られるメリットが大きいだけに宅建士には是非とも不動産鑑定士取得に向けてチャレンジしてもらいたい資格
不動産の専門家である宅建士の資格を取得したら、せっかくなので同じ不動産関連資格である不動産鑑定士の資格を取得したいものです。
この記事では、宅建士が不動産鑑定士とのダブルライセンスを目指すことで得られる8つのメリットについて、できるだけ詳しく解説いたします。
宅建士と不動産鑑定士はダブルライセンスによる相乗効果が高い
宅建士は宅地建物取引業法(宅建業法)に定める国家資格者で、不動産流通の専門家です。
法律上、以下の業務は宅建士にしかできない独占業務(専権業務)になっており、不動産の売買や賃貸の仲介を行う宅建業者において中心的役割を担っています。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書(35条書面)への記名・押印
- 契約書(37条書面)への記名・押印
一方、不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を行うための法律上の資格を有する国家資格者であり、主たる業務は不動産の経済価値を評価する鑑定評価です。
不動産関連資格の最高峰に位置づけられ、弁護士、公認会計士とならぶ三大国家資格のひとつとも言われています。
社会的信用力と希少性の高い不動産鑑定士は、不動産に関する高度かつ総合的な専門知識を有するプロフェッショナルとして業界の垣根を越えて多方面で活躍することが可能です。
宅建士と不動産鑑定士は、いずれも不動産の専門家だけあって両資格の相性は抜群に良いと言えます。
両方の資格は学習面・実務上の相乗効果が高く、ぜひダブルライセンスを取得したいところです。
宅建士が不動産鑑定士とのダブルライセンスで得られるメリット
宅建士の資格を取得したら、せっかくなので同じく不動産の専門家であり、その不動産関連資格の最高峰である不動産鑑定士の資格取得をおすすめします。
おすすめする理由は次の8つ、具体的には、学習面で2つのアドバンテージ、実務上、6つのメリットがあります。
<学習面でのアドバンテージ>
- 宅建試験の勉強で得た知識を不動産鑑定士試験の勉強に活かせる
- 不動産鑑定士試験対策の通学講座・通信講座の割引制度を利用できる
<実務上のメリット>
- 資格の希少性から就職・転職が有利になる
- 独立開業の可能性がアップする
- 社会的信用力がアップする
- 仕事の幅が広がる
- 継続的取引により顧客基盤が安定する
- 競争の少ない環境で経営基盤が安定する
メリット1:宅建試験の勉強で得た知識を不動産鑑定士試験の勉強に活かせる
まず1つ目は、学習面でのアドバンテージ。
宅建試験の勉強で得た知識は、実のところ、そっくりそのまま不動産鑑定士試験の勉強でも活かすことができます。
宅建試験 | 不動産鑑定士試験 |
宅建業法 | 行政法規 |
法令上の制限 | 行政法規 |
税・その他 | 行政法規 |
権利関係 | 民法 |
宅建試験の試験科目である「宅建業法」「法令上の制限」「税・その他」は、不動産鑑定士試験の試験科目である「行政法規」と範囲が重複しています。
試験形式についても、宅建試験が四肢択一で、「行政法規」が五肢択一と、選択肢が増える分、難易度に差があるものの同じような形式です。
また、「権利関係」の中心論点である「民法」は、不動産鑑定士試験の試験科目である「民法」と重複しています。
不動産鑑定士試験には、「行政法規」と「民法」のほかに「鑑定理論」「経済学」「会計学」があり、難易度も各段に上がりますが、宅建試験の勉強で得た知識をそのまま活かせるというのは大きなメリットになるはずです。
メリット2:不動産鑑定士試験対策の通学講座・通信講座の割引制度を利用できる
2つ目も学習面でのアドバンテージです。
不動産鑑定士試験は難易度が高く、その試験対策としては独学よりも通学講座・通信講座の受講が王道になります。
ただし、通学講座・通信講座とも40万円~50万円程度とかなりの高額になります。
そんななか、宅建士の資格を保有していると受講料の割引制度を利用することが可能です。
不動産鑑定士試験の通学講座・通信講座を提供する「資格の学校TAC」または「LEC東京リーガルマインド」のどちらにおいても10%~15%程度の割引制度があります。
受講料自体が高額なだけにこの制度で10万円程度の割引になりますので大きなメリットです。
なお、過去に宅建試験の通学講座・通信講座を受講していなくても、宅建士資格を持っていることや宅建試験の受験経験があることでその割引制度を受けることができます。
メリット3:資格の希少性から就職・転職が有利になる
ここから先は実務上のメリットです。
宅建士の資格を持っていても、それだけで就職・転職が有利になりますが、不動産鑑定士の資格は希少性が高いため、就職や転職がさらに有利になります。
不動産鑑定士は、不動産鑑定評価だけでなく、不動産業界における主要プレイヤーとして幅広く活躍可能な資格です。
不動産鑑定士の資格を持っていると、不動産鑑定事務所はもちろんのこと、総合不動産会社、機関投資家、銀行、一般事業会社など業界の垣根を越えて、就職・転職に有利になる資格と言えます。
メリット4:独立開業の可能性がアップする
宅建士の資格を持っているだけでも宅建業者として独立開業することも可能ですが、不動産鑑定士の資格を持っていると新たに不動産鑑定事務所を設立して独立開業することが可能になります。
不動産鑑定士は希少性の高い資格であり、資格のなかでも独立開業のしやすい資格の一つです。
不動産鑑定事務所を設立するためにはそれなりの費用がかかりますが、鑑定評価の仕事は極端な話、電話やパソコン、複合機さえあれば自宅でだって仕事ができます。
独立開業するのに多大な初期投資を必要とするわけではありません。
もちろん、独立開業したからと言って必ずしも成功できるわけではなく、不動産鑑定士としての経験や実績、会社経営のノウハウ、事業基盤等も必要になります。
ですが、不動産鑑定士は、鑑定評価という独占業務を行うことができますので、資格も何もない状態に比べれば、基盤がそれなりに整った「下駄を履いた」状態からスタートすることができます。
メリット5:社会的信用力がアップする
宅建士のステータス・社会的信用力もかなり高いと言えますが、不動産鑑定士は宅建士を凌ぐ高さのステータス・社会的信用力があります。
宅建士は2015年に「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」に名称が変わり、晴れて「士業」の仲間入りを果たしましたが、「士業」としての歴史はまだ浅いと言えます。
しかも、不動産鑑定士は、不動産関連資格の最高峰に位置付けられ、弁護士、公認会計士と並ぶ三大国家資格のひとつ。
超難関試験を突破しなければ取得することのできない希少性の高い資格ですが、その分、ステータス・社会的信用力の高い資格と言えます。
医者や弁護士と同じように「先生」と呼ばれくらいです。
宅建士が不動産鑑定士の資格を取得するとステータス・社会的信用力がアップするというメリットがあるわけです。
また、不動産鑑定士は仕事柄からか公平な専門職業家と見られる傾向があります。
宅建業者は、どちらかというと商売優先の「不動産屋」というふうに見られがちですが、不動産鑑定士の肩書があると、警戒心を和らげるという意外な効果があったりします。
メリット6:仕事の幅が広がる
宅建士が不動産鑑定士の資格を取得すれば、宅建士としての仕事がないときでも不動産鑑定士としての仕事があったり、逆に不動産鑑定士としての仕事がないときに宅建士としての仕事があったりと、仕事の幅が広がることになります。
また、不動産鑑定士の取引先は、官公庁、一般事業会社、銀行、投資家など多方面にわたりますし、弁護士や税理士から顧客を紹介される機会もあります。
宅建士としての顧客に不動産鑑定士としての顧客が加わり、顧客基盤が拡大する相乗効果も期待できるわけです。
メリット7:継続的取引により顧客基盤が安定する
不動産鑑定士が行う鑑定評価業務の特性として顧客との継続的な取引があります。
鑑定評価は頻繁に行われるものではありませんが、一度、同じ顧客から依頼を受けると、その後も同じ顧客から何度も依頼を受ける傾向があります。
不動産の専門家として信頼を得ることができれば、不動産に関する様々な相談を受ける機会が増えてきます。
そうした継続的な関係を構築した顧客からは、もしかしたら不動産仲介の仕事の依頼を受ける機会があるかもしれません。
不動産鑑定士としての継続的な仕事が宅建士としても顧客基盤の安定につながるわけです。
メリット8:競争の少ない環境で経営基盤が安定する
不動産鑑定士の資格保有者は少なく、需要に比べて供給が少ない需給ギャップが生じている状況です。
不動産鑑定士はその資格だけで十分に独立開業の可能性の高い数少ない資格の一つですが、資格保有者の人数が少なく競争がそれほど激しくないため、独立開業後の経営の安定性は、ほかの資格と比べても高いと言えます。
もうひとつ付け加えるとすれば、弁護士や公認会計士の場合は株式会社での事務所開設ができませんが、不動産鑑定士の場合は株式会社で不動産鑑定事務所を開業することが可能です。
株式会社で開業できるということは事業の拡張性があるということです。
もしすでに宅建業者として独立しているとしたら、不動産鑑定事務所としても事業を拡大すれば、ゆくゆくは「総合不動産会社に成長・発展!」なんていうのももしかしたら夢ではないかもしれません。
不動産鑑定士試験は超難関だが得られるメリットが大きい
不動産鑑定士は、弁護士、公認会計士と並ぶ三大国家資格の一つであり、その資格試験は超難関国家試験です。
合格するために必要な勉強時間は3,000時間~4,000時間と言われており、目指すのにはそれなりの覚悟が必要です。
ですが、これまでご説明したとおり得られるメリットが大きいだけに宅建士には是非とも取得に向けてチャレンジしてもらいたい資格です。
まとめ
以上が本記事でお伝えしたかった内容です。これまでお話ししてきたことをまとめると以下のとおり。
- 宅建士と不動産鑑定士は、いずれも不動産の専門家だけあって両資格の相性は抜群によく、ダブルライセンスによる学習面・実務上の相乗効果が高い
- 宅建士の資格を取得したら、不動産鑑定士の資格も取得してダブルライセンスを目指すのがおすすめ。不動産鑑定士とのダブルライセンスには8つのメリットがある。具体的には、学習面でのアドバンテージが2つ、実務上のメリットが5つ。
- 宅建試験の勉強で得た知識を不動産鑑定士試験の勉強に活かせる
- 不動産鑑定士試験対策の通学講座・通信講座の割引制度を利用できる
- 資格の希少性から就職・転職が有利になる
- 独立開業の可能性がアップする
- 社会的信用力がアップする
- 仕事の幅が広がる
- 継続的取引により顧客基盤が安定する
- 競争の少ない環境で経営基盤が安定する
- 不動産鑑定士試験は超難関。目指すのにはそれなりの覚悟が必要であるが、得られるメリットが大きいだけに宅建士には是非とも不動産鑑定士取得に向けてチャレンジしてもらいたい資格
コメント