基本情報技術者試験とは~試験概要、難易度・合格率、取得メリット~

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基本情報技術者試験
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★10秒でわかる!この記事の内容
  • 基本情報技術者試験は、国家試験である情報処理技術者試験の12の試験区分のうちの一つで、ITエンジニアの登竜門的な位置づけにある試験。ITに関する基礎的な知識が身につき、ITエンジニアを目指すのであれば、まず最初に取得しておきたい資格。
  • 年間の受験者数10万人以上の人気資格だけあって、「基本」といいつつ難易度は意外と高め。ここ最近の合格率は20%台で推移。
  • ITエンジニアを目指すのであれば必須の資格であり、IT企業に就職する際に有利になるなど取得のメリットは高い。オススメ度★★★★★。

これからの時代を生きぬくうえでIT関連知識は必須。基本情報技術者試験は、本サイトが最もおすすめしたい資格の一つです。

ということで、本記事の主題は「基本情報技術者試験とは」。

試験概要から難易度・合格率、必要な勉強時間、取得のメリットまでをしっかりと解説させていただきます。

試験概要

基本情報技術者試験とは

基本情報技術者試験は、国家試験である情報処理技術者試験の12の試験区分のうちの一つです。 英語では「Fundamental Information Technology Engineer Examination」、略して「FE」と表記されています。

IT関連の資格にはベンダー資格をはじめとした民間資格も多数ありますが、基本情報技術者試験は国家資格の一つです(※厳密には「国家資格」ではなく「国家試験」。でも、ややこしいので、このサイトでは「資格」と呼ばせていただきます)。

ITパスポートと情報セキュリティマネジメント試験がITの「利用者向け」の資格であるのに対して、基本情報技術者試験は、「ITエンジニア(情報処理技術者)」向けの資格であり、そのなかでも入門的な位置づけにあります。

ITに関する基礎的な知識と技能が身につき、ITエンジニアを目指すのであれば、まず最初に取得しておきたいキャリアパスと言えます。基本情報技術者試験に合格したら次は応用情報技術者試験、その次はITストラテジスト試験をはじめとしたさらに上位の試験、というふうにステップアップを目指していきましょう。

IPA独立行政法人情報処理推進のホームページには、基本情報技術者試験の対象者像、業務と役割、期待する技術水準について以下のとおり記載されています。

1.対象者像

高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者

2.業務と役割

基本戦略立案又はITソリューション・製品・サービスを実現する業務に従事し、上位者の指導の下に、次のいずれかの役割を果たす

  • 需要者(企業経営、社会システム)が直面する課題に対して、情報技術を活用した戦略立案に参加する。
  • システムの設計・開発を行い、又は汎用製品の最適組合せ(インテグレーション)によって、信頼性・生産性の高いシステムを構築する。また、その安定的な運用サービスの実現に貢献する。

3.期待する技術水準

1 情報技術を活用した戦略立案に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。
  • 対象とする業種・業務に関する基本的な事項を理解し、担当業務に活用できる。上位者の指導の下に、情報戦略に関する予測・分析・評価ができる。上位者の指導の下に、提案活動に参加できる。

2 システムの設計・開発・運用に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。

  • 情報技術全般に関する基本的な事項を理解し、担当業務に活用できる。
  • 上位者の指導の下に、システムの設計・開発・運用ができる。
  • 上位者の指導の下に、ソフトウェアを設計できる。上位者の方針を理解し、自らソフトウェアを開発できる。

出展元:IPA 独立行政法人情報処理推進

試験日程

試験は年2回、以下の日程で行われています。

  • 春期:4月 第3日曜日
  • 秋期:10月 第3日曜日

試験は1年に1回の資格が多いなか、年2回行われるのはありがたいところです。

別の記事で詳しく解説しますが、基本情報技術者試験の推奨勉強期間は4ヶ月~6ヶ月程度。直近の試験終了直後から次回の試験を目指して勉強を開始するのがちょうどいいタイミングです。

試験時間・出題形式・出題数と回答数

 午前午後
試験時間9:30~12:00(150分)13:00~15:30(150分)
出題形式多肢選択式(四肢択一)多肢選択式
出題数・回答数出題数:80問・解答数:80問出題数:11問・解答数:5問
配点100点満点100点満点
基準点(合格点)60点60点

午前と午後を合計すると5時間とかなりの長丁場。試験が終わったときにはクタクタになっています。集中力を維持するために日頃からの学習による「慣れ」が必要。まあ、試験中は時間との勝負なのでアッという間だったりするんですけどね。

出題形式はマークシートによる選択式。マークミスなどがないようにしっかりと見直しましょう。

午後の出題数と解答数が異なるのは、選択問題があるためです。どの問題を選ぶかによって勉強方法なども異なるためちょっとした戦略が必要です。

100点満点中60点が合格点。勘だけでは太刀打ちできなかったり、理解が浅いと答えられなかったりと、60点という基準の設定はまさに絶妙と言えます。

必要な知識分野

基本情報技術者試験は午前試験と午後試験で構成されています。

午前試験はそれぞれが独立した80問の選択問題で、用語の意味や特徴などが問われる基礎的な問題が中心です。幅広い知識をつける必要がありますが、覚えることさえできれば解答可能な試験です。

一方の午後試験は午前問題で問われている基礎的な知識を前提とした応用問題。11問の大問のなかから5問を選択(一部は必須)して解答しますが、長文読解、アルゴリズム、プログラミングといった知識だけでなく演習による「慣れ」が必要な試験となっています。

午前試験、午後試験の対策等は以下の記事で詳しく解説するとして、ここでは知識分野をお示ししておきます。

テクノロジ系
基礎理論基礎理論離散数学
応用数学
情報に関する理論
通信に関する理論
計測・制御に関する理論
アルゴリズムとプログラミングデータ構造
アルゴリズム
プログラミング
プログラム言語
その他の言語
コンピュータシステムコンピュータ構成要素プロセッサ
メモリ
バス
入出力デバイス
入出力装置
システム構成要素システムの構成
システムの評価指標
ソフトウェアオペレーティングシステム
ミドルウェア
ファイルシステム
開発ツール
オープンソースソフトウェア
ハードウェアハードウェア
技術要素ヒューマンインタフェースヒューマンインタフェース技術
インタフェース設計
マルチメディアマルチメディア技術
マルチメディア応用
データベースデータベース方式
データベース設計
データ操作
トランザクション処理
データベース応用
ネットワークネットワーク方式
データ通信と制御
通信プロトコル
ネットワーク管理
ネットワーク応用
セキュリティ情報セキュリティ
情報セキュリティ管理
セキュリティ評価技術
情報セキュリティ対策
セキュリティ実装技術
開発技術システム開発技術システム要件定義
システム方式設計
ソフトウェア要件定義
ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計
ソフトウェアコード作成およびテスト
ソフトウェア結合・ソフトウェア適格性確認テスト
システム結合・システム適格性確認テスト
ソフトウェア導入
ソフトウェア受入れ
ソフトウェア保守
ソフトウェア開発管理技術開発プロセス・手法
知的財産適用管理
開発環境管理
構成管理・変更管理
マネジメント系
プロジェクトマネジメントプロジェクトマネジメントプロジェクト統合マネジメント
プロジェクト・スコープ・マネジメント
プロジェクト・タイム・マネジメント
プロジェクト・コスト・マネジメント
プロジェクト品質マネジメント
プロジェクト人的資源マネジメント
プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
プロジェクト・リスク・マネジメント
プロジェクト調達マネジメント
サービスマネジメントサービスマネジメントサービスマネジメント
運用設計・ツール
サービスサポート
サービスデリバリ
サービスマネジメント構築
ファシリティマネジメント
システム監査システム監査
内部統制
ストラテジ系
システム戦略システム戦略情報システム戦略
業務プロセス
ソリューションビジネス
システム活用促進・評価
システム企画システム化計画
要件定義
調達計画・実施
経営戦略経営戦略マネジメント経営戦略手法
マーケティング
ビジネス戦略と目標・評価
経営管理システム
技術戦略マネジメント技術開発戦略の立案
技術開発計画
ビジネスインダストリビジネスシステム
エンジニアリングシステム
e-ビジネス
民生機器
産業機器
企業と法務企業活動経営・組織論
OR・IE
会計・財務
法務知的財産権
セキュリティ関連法規
労働関連・取引関連法規
その他の法律・ガイドライン・技術者倫理
標準化関連

難易度および合格率

情報処理技術者試験の難易度には4段階あります。レベル1が一番やさしく、順にレベル2、レベル3ときて、レベル4が一番難しい。基本情報技術者試験は、情報処理技術者試験のなかで2段階目のレベル2に相当します。

レベル試験区分
1ITパスポート試験
2情報セキュリティマネジメント試験
2基本情報技術者試験
3応用情報技術者試験
4ITストラテジスト試験
4システムアーキテクト試験
4プロジェクトマネージャ試験
4ネットワークスペシャリスト試験
4データベーススペシャリスト試験
4エンベデッドシステムスペシャリスト試験
4ITサービスマネージャ試験
4システム監査技術者試験

ここ最近の応募者数、受験者数、受験率、合格者数、合格率の推移は以下のとおり。

開催応募者数(人)受験者数(人)受験率合格者数(人)合格率
令和元年秋期91,70066,87072.90%19,06928.50%
平成31年春期77,47054,68670.60%12,15522.20%
平成30年秋期82,34760,00472.90%13,72322.90%
平成30年春期73,58151,37769.80%14,82928.90%
平成29年秋期76,71756,37773.50%12,31321.80%
平成29年春期67,78448,87572.10%10,97522.50%
平成28年秋期75,09555,81574.30%13,17323.60%
平成28年春期61,28144,18472.10%13,41830.40%
平成27年秋期73,22154,34774.20%13,93525.60%
平成27年春期6557046,87471.50%12,17426.00%
平成26年秋期74,57754,87473.60%12,95023.60%
平成26年春期65,14146,00570.60%11,00323.90%
平成25年秋期76,02055,42672.90%12,27422.10%
平成25年春期66,66746,41669.60%10,67423.00%
平成24年秋期79,67458,90573.90%15,98727.10%
平成24年春期75,08552,58270.00%12,43723.70%

合格率は20%台で推移していますが、受験率を考慮すると実質的には10%台。年間の受験者数10万人以上の人気資格だけあって、「基本」といいつつ難易度は意外と高めです。

最初は難しく感じますが、しばらく続けて行くうちに慣れてきますので、諦めずに頑張りましょう。

取得のメリット

基本情報技術者試験は、ITエンジニアを目指すのであれば必須の資格と言えます。

もちろん、仕事は資格だけでするものではありませんので、最初からフリーランスとして働くのであれば、資格よりも実践的な知識や技術が必要となります。ですがそれら実践的な知識や技術は、IT企業などに就職し、実際に仕事に携わり実績と経験を積まないと獲得することができません。IT企業に就職する際に基本情報技術者試験に合格していると有利になるのは間違いありません。

また、資格取得という観点だけでなく、試験勉強によって得た知識は後々必ず役に立つものばかりです。

「金融×テック=フィンテック」「不動産×テック=不動産テック」「農業×テック=アグリテック」などのように特定の分野とテクノロジーが融合して新しい価値を生み出そうとする動きが活発です。私たちにとっても「自分の得意分野+IT関連知識」というふうにプラスアルファの知識としてITに一定の見識を持っていると必ず強味になります。

基本情報技術者試験は、ITエンジニアを目指す人だけでなく、すべて社会人にオススメしたい「オススメ度★★★★★」の資格です。

まとめ

以上が本記事でお伝えしたかったことです。これまでお話ししてきたことをまとめると以下のとおり。

  • 基本情報技術者試験は、国家試験である情報処理技術者試験の12の試験区分のうちの一つで、ITエンジニアの登竜門的な位置づけにある試験。ITに関する基礎的な知識が身につき、ITエンジニアを目指すのであれば、まず最初に取得しておきたい資格。
  • 年間の受験者数10万人以上の人気資格だけあって、「基本」といいつつ難易度は意外と高め。ここ最近の合格率は20%台で推移。
  • ITエンジニアを目指すのであれば必須の資格であり、IT企業に就職する際に有利になるなど取得のメリットは高い。オススメ度★★★★★。

この記事が皆さまのお役に立つと嬉しく思います。

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