- 基本情報技術者試験に合格するための勉強時間は、個人差があるもののゼロからのスタートを前提とすれば150時間~200時間程度。試験日の4~6ヶ月前から準備を始めておきたい。
- まずは出題分野別に学習のポイントを把握しておこう!午前試験は効率的な知識習得、午後試験は基礎力と反復演習が決め手。
- 資格スクールや通信講座を利用するのが効率的だが、計画的に学習することで独学でも十分合格可能。独学の場合、参考書でざっと全体像を把握したのち過去問を繰り返す勉強法が王道。
基本情報技術者試験は「基本」の名前に騙されてしまいますが難易度は意外と高め。でも、計画的な学習によって独学でも十分合格可能です。
ということで、本記事の主題は「基本情報技術者試験の勉強法」。必要な勉強時間から学習のポイント、おすすめの教材までをしっかりと解説させていただきます。
必要な勉強時間
基本情報技術者試験に合格するための勉強時間は、個人差があるものの150時間~200時間程度と言われています。こちらはゼロからのスタートを前提としたもので、プログラミング経験のある方ならもう少し短い時間でも大丈夫です。
さて、150時間~200時間というと、ざっくりとした計算ですが、毎日1時間の勉強時間を確保できれば6ヶ月程度で合格水準に到達する計算です。目安としては試験日の4ヶ月前~6ヶ月前から準備を始めておくと良いでしょう。
短期集中がコツ
資格試験の勉強はできるだけ短期集中で行うのがコツ。どんな資格試験でも、毎日、ある程度まとまった勉強時間を確保できると効率的な知識習得が可能です。
人間はどうしても覚えたことを忘れてしまいます。忘れてから時間が経てば経つほど再度覚えるのに時間がかかりますが、忘れてからすぐに覚え直せばより少ない時間で再度覚えることが可能です。記憶を定着させるためには短期集中での継続的な反復が効果を発揮するわけです。
どの程度まとまった勉強時間が必要かは資格試験の難易度にもよりますが、基本情報技術者試験のレベル感からすると、一日2時間程度の勉強時間を確保できると1日に目にする情報量も多く、良い按配の反復サイクルを構築できると考えています。
これもざっくりとした計算ですが、毎日2時間の勉強を3ヶ月くらい続けることができれば、少ない労力で効率的に合格水準まで到達できると考えられます。
スキマ時間の活用
ただ、社会人の方をはじめ、机に向かった勉強をそうそう毎日はできない方も多いはずです。忙しい方には通勤時間などの「スキマ時間」の活用をオススメします。
後ほど詳しくご紹介しますが「基本情報技術者過去問道場」といった、スマホさえあればいつでも勉強できる便利なサイトもあります。行きの通勤電車で30分、帰りの通勤電車で30分、それぞれ勉強すればきっちり1時間の勉強時間を確保することができます。
「スキマ時間」は「塵も積もれば山となる」貴重な勉強時間です。
出題分野別の学習ポイント
午前試験の学習ポイント
午前試験では効率的な知識習得が合格の決め手になります。幅広い分野から出題されますので、最初は、膨大な情報量を前に圧倒されてしまい、どのように取り組むべきか、途方に暮れてしまうかもしれません。
攻略法はずばりメリハリ!
午前試験では聞き慣れない言葉が大量に出てきます。満遍なく覚えるのに越したことはありませんが、全てを覚えるのは困難を極めます。メリハリをつけて重要なテーマや理解しやすいところから取り組みましょう。
テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3つの分野別に学習ポイントを解説します。
テクノロジ系
午前試験のなかで最も出題数が多いのがテクノロジ系。80問中50問も出題されますので、この分野の攻略が成否を決めると言っても過言ではありません。
出題範囲は広範囲にわたり、基礎理論、システム、ソフトウェア、ハードウェア、データベース、ネットワーク、セキュリティ、オブジェクト指向など幅広い知識が必要となります。
特に重要なテーマは、データベース、ネットワーク、セキュリティ。この3テーマは午前試験の頻出分野というだけでなく、午後試験でも得点源になりうる分野です。
それから避けて通れないのが計算問題。最近は理数能力が重視される傾向が強くなっています。本試験では電卓を使うことができません。理系で計算が得意な方にとっては得点源になりますが、文系で計算の苦手な人は「公式」を覚えることに注力し、守りの姿勢で切り抜けましょう。
広範囲にわたる分野ですので、苦手な分野があっても仕方ありません。何度やってもまったく頭に入らないようなテーマがあれば、時間をかけるのはもったいないのでスパッと切り捨ててしまいましょう。資格試験では諦めが肝心です。
マネジメント系
この分野からの出題は80問中10問。「少なっ!」・・・と侮ってはいけません。この分野はストラテジ系とは対照的に範囲が限られており、過去問から繰り返し出題される分野が多いという特徴があります。しっかりと取り組むことで貴重な得点源になります。
仮にマネジメント系で満点を取っておくと、他の分野は55%の正答率で合格点を獲得できるわけです。
内容的にも取っつきやすいテーマが多いので、早めに攻略して得意分野にしておくと後々の学習が楽になります。アローダイヤグラムとシステム監査は特に頻出。しっかりと抑えておきましょう。
ストラテジ系
この分野からの出題は80問中20問。システム戦略や経営戦略、企業と法務などのテーマで問題が出題されます。理系の方にはやや縁遠い内容かもしれませんが、文系の方にとって馴染み深い分野だと言えます。
企業と法務はマネジメント系と同様に過去問から繰り返し出題される傾向が強いため、しっかりと取り組んで得点源にしましょう。
一方、BPR、RFI、ERP、CIOといった似たような英字略語が数多く出てくるところもこの分野の特徴。略語は短くて一見覚えやすそうなのですが、うろ覚えだと間違いやすいという落とし穴があります。少し面倒でも正式な名称から覚えていった方が記憶も定着しやすくおすすめです。
午前試験の学習ポイントまとめ
以上がテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の学習ポイントです。
理系の方はテクノロジ系、文系の方はマネジメント系とストラテジ系が取り組みやすいと思います。得意な分野をしっかりと抑えて得点源とし、苦手な分野はできるだけ取りこぼさないようにする、という戦術でのぞみましょう。
広範囲にわたる試験ですので、一度覚えたことを忘れてしまってもまったく気にする必要はありません。6割覚えておけば合格できます。
午後試験の学習ポイント
午後試験の問題は以下のとおり。
問 | 分野 | 解答形式 | 配点 |
問1 | 情報セキュリティ | 必須 | 20点 |
問2~問5 | ・ソフトウェア・ハードウェア ・データベース ・ネットワーク ・ソフトウェア設計 (以上4分野から3問出題) ・マネジメント・ストラテジ | 4問中2問選択 | 15点×2 |
問6 | データ構造とアルゴリズム | 必須 | 25点 |
問7~問11 | ソフトウェア開発とプログラミング ・C言語 ・Java ・Python ・アセンブラ ・表計算 | 5問中1問選択 | 25点 |
少しばかりややこしいのですが、簡単に言うと、午後試験は全部で5問を解答する必要があり、そのうち「情報セキュリティ」と「データ構造とアルゴリズム」の2つは必須、データベースやネットワークといった午前試験の応用問題を2つ選択、プログラミングの問題を1つ選択、といった感じです。
午後試験は、午前試験の延長線上の応用問題という位置づけにありますが、難易度は格段にあがります。試験勉強の途中で挫折する人が多く出るのも午後試験の難しさが原因の一つです。最初は意味が分からず嫌になることもあるかもしれません。
でも、大丈夫です。しっかりと学習すればちゃんと合格点を取ることができます。
午後試験は基礎力、反復演習、そして戦略が決め手。
そして、攻略法は諦めないこと!
問題ごとに学習ポイントを解説します。
問1(情報セキュリティ)と問2~問5(選択問題)
問1は必須問題の「情報セキュリティ」、問2~問5は、「ソフトウェア・ハードウェア」「データベース」「ネットワーク」「ソフトウェア設計」の4分野から3問に「マネジメント・ストラテジ」を合わせた4問から2問を選択します。
問1~問5は午前試験の知識を前提に応用力を問われる演習問題です。まずは午前試験の勉強でしっかりと基礎力をつけることが重要。最初から午後試験の演習問題をやっても意味不明すぎて挫折・・・なんてことになりがちです。
少し回り道なような気がしますが、午前試験の勉強で培った基礎力が後々効果を発揮します。この基礎力がつけるだけで問題を解くのに時間はかかるかもしれませんが、十分合格点を取れるようになります。
でも、午後試験は時間との勝負。「データ構造とアルゴリズム」や「ソフトウェア開発とプログラミング」という難敵に挑むためには問1~問5にあまり時間をかけることはできません。
短時間で問題を解くためにはやはり繰り返し問題を解く反復演習しかありません。長文の問題を読み解く読解力も必要となりますが、演習問題に取り組むことで自ずと読解力もアップしていきます。
選択問題では何を選ぶかも重要。別の記事で詳しく解説します。
問6(データ構造とアルゴリズム)
問6は「データ構造とアルゴリズム」。基本情報技術者試験のなかで最も攻略が困難な「最大の難所」と言えるでしょう。
裏を返せば、ここを攻略することさえできればゴールが鮮明に見えてくるはずです。
ポイントは「アルゴリズムの理解」「擬似言語の暗記」「トレースの練習」そして「演習問題の反復」。
基本情報技術者試験は独学でも十分合格可能ですが、アルゴリズムの理解に関して言えば市販の教材を読むだけでは少しばかり心許ないところ。可能であればスクールや通信講座を活用するとスムーズに理解できるでしょう。
でも独学でも強い味方がいます。
それは「うかる!福嶋先生の集中ゼミ 基本情報技術者 午後・アルゴリズム編」 という教材。購入すると特典としてWEBで福嶋先生の解説動画を視聴をすることができますので、スクールや通信講座に行かなくても十分に太刀打ちできるだけの能力を身に着けることができます。
次に「擬似言語の暗記」。擬似言語とは基本情報技術者試験で用いられている擬似的なプログラミング言語です。「データ構造とアルゴリズム」では擬似言語によるプログラムを読み取って問題に答える必要がありますので、擬似言語を読めるようにしておく必要があります。問題用紙に擬似言語の意味など仕様書の記載がありますが、確認しながら読むだけの時間の余裕もありません。時間の節約のためにも「擬似言語の暗記」が必要となります。
「トレース」はプログラムの処理の流れに沿って表を作っていく作業です。意味としては「翻訳」に近いかもしれません。プログラミングの実務でも不具合の原因がどこにあるのかを突き止めるなどトレースはとても重要な作業です。最初は少し面倒かもしれませんが、根気よく練習すれば必ず高い効果を得ることができます。
最後に「演習問題の反復」。過去問などを使用して何度も問題演習を繰り返すことで解答力を確実なものとします。
問7~問11(ソフトウェア開発とプログラミング)
問7~問11は「ソフトウェア開発とプログラミング」。「C言語」「Java」「Python」「アセンブラ」「表計算」の5つの言語から1つを選択して解答します。
どの言語を選択するとしても文法の理解は必須です。
「データ構造とアルゴリズム」と同様に「理解」「文法の暗記」「トレースの練習」そして「演習問題の反復」が重要となります。
どの言語を選ぶかも重要です。実務的な実用性などを考えながら選択するのが理想ですが、試験に受かることも先決。
詳しくは別の記事で解説します。
学習の進め方
基本情報技術者試験の難易度は意外と高めです。効率的に合格レベルまでもっていくためには資格スクールや通信講座を活用すると良いでしょう。
資格スクールや通信講座を利用するのが効率的ですが、計画的に学習することで独学でも十分合格可能。独学の場合、「テキスト」でざっと全体像を把握したのち「過去問題集」を繰り返す勉強法が王道です。
基礎力をつけるためまずは午前試験の勉強から開始。ある程度、理解がすすんだら午後試験の勉強をはじめます。午後試験の問1~問5の演習と平行して「データ構造とアルゴリズム」そして「ソフトウェア開発とプログラミング」についても学習できると良いでしょう。
気を付けないといけないのは問題演習により多くの時間をかける必要があること。最初はあまり馴染みのない言葉が沢山出てきますので「テキスト」に時間をかけ過ぎてしまいがちです。でも、ここに時間をとられてしまうと問題演習の時間が足りなくなるおそれがあります。「テキスト」はほどほどにしておいて、全体像を理解したらすぐに問題演習に取り掛かりましょう。
独学で合格を目指すのであれば、教材としては「テキスト」「過去問題集」「データ構造とアルゴリズム対策本」「ソフトウェア開発とプログラミング対策本」の4冊は最低限用意しておきたいところです。。
まとめ
以上が本記事でお伝えしたかったことです。これまでお話ししてきたことをまとめると以下のとおり。
- 基本情報技術者試験に合格するための勉強時間は、個人差があるもののゼロからのスタートを前提とすれば150時間~200時間程度。試験日の4~6ヶ月前から準備を始めておきたい。
- まずは出題分野別に学習のポイントを把握しておこう!午前試験は効率的な知識習得、午後試験は基礎力と反復演習が決め手。
- 資格スクールや通信講座を利用するのが効率的だが、計画的に学習することで独学でも十分合格可能。独学の場合、参考書でざっと全体像を把握したのち過去問を繰り返す勉強法が王道。
この記事が皆さまのお役に立つと嬉しく思います。
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